「判定のアルファベットしか見ていませんでした」――夏の模試、結果用紙で親が本当に見たい3つの場所
夏の模試が返ってくる季節になりました。子供が持ち帰った結果用紙を手に取って、まず目が行くのはやっぱり「A〜E」の判定欄――そんな親御さんは、とても多いと思います。この記事は、判定のアルファベットに一喜一憂してしまいがちなご家庭に向けて、成績表のどこを見れば子供の頑張りと次の一手が見えてくるのか、その視点をお届けするものです。
模試の結果用紙は、実はA4一枚に驚くほどたくさんの情報が詰まっています。判定は、そのうちのほんの一部にすぎません。今日は「どこを、どんな気持ちで見るといいのか」を、親の立場から一緒に整理してみたいと思います。
判定の一つ手前、「志望校内の順位」に目を向ける

判定は「今の実力で受かりそうかどうか」をざっくり示した指標です。ただ、これはあくまでその模試を受けた母集団の中での相対評価であって、しかも判定の境界線は数点差でガラリと変わります。E判定とD判定の間に、実は偏差値1〜2しかない、ということも珍しくありません。
そこで一つ提案したいのが、判定の欄のすぐ近くにある「志望校内での順位」や「必要点との差」に目を向けてみることです。たとえば「合格ラインまであと15点」と書かれていれば、それは「あと大問一つ分」くらいの距離感かもしれません。判定のアルファベットだけを見ると絶望的に感じることでも、点差で見ると「案外届く範囲だ」と親のほうが少し落ち着けることがあります。子供が数字の意味を冷静に受け止められるかどうかは、隣にいる親の表情に案外左右されるものです。
「科目ごとの偏差値の凸凹」から、伸びしろを読む

総合判定は、いわば全科目を平らにならした平均点のようなものです。けれど子供の学力は、科目ごとにかなり凸凹しているのが普通です。ここを見ずに総合だけで一喜一憂するのは、少しもったいないかもしれません。
結果用紙の科目別成績を横に並べてみると、「英語は伸びているのに数学が足を引っ張っている」といった全体像が見えてきます。多くの場合、いちばん低い科目こそが、これから最も伸びる余地のある科目です。得意科目をさらに5点上げるより、苦手科目を15点上げるほうが、総合点への効き目は大きいことが多いからです。
ただ、ここで「数学、ひどいじゃない」と口に出してしまうと、子供は自分でも分かっている弱点を責められたと感じてしまいます。伸びしろの発見は、あくまで親の頭の中でそっと行い、子供には「英語、ずいぶん安定してきたね」と伸びている側を言葉にしてあげる。そんな順番のほうが、次の一歩につながりやすいと感じる親御さんは多いようです。
「前回からの推移」で、点ではなく線として見る

一回の模試の結果は、あくまで「点」の情報です。けれど受験は数ヶ月かけて走る長いレースですから、本当に大事なのは点ではなく、線としての推移です。
前回の模試の結果用紙が手元にあれば、ぜひ並べて見てみてください。判定は変わっていなくても、偏差値がじわりと上がっていたり、苦手科目の失点が減っていたりする。そうした小さな変化は、判定というおおざっぱな指標の中に埋もれてしまいがちです。子供本人も、判定が動かないと「頑張っても意味がなかった」と感じてしまうことがあります。
そんなとき、「前より偏差値2上がってるよ、この調子でいけば秋にはもう一段いけそうだね」と、線でとらえた事実を親が言葉にしてあげられると、子供にとっては大きな支えになります。夏は結果がすぐに数字に出にくい時期でもあります。伸びを信じて待つ姿勢そのものが、この時期の親にできる大切なサポートの一つなのだと思います。
まとめ――結果用紙は「裁く紙」ではなく「作戦を立てる紙」
模試の結果用紙は、子供を裁くための通知表ではありません。次の数ヶ月をどう戦うかを、親子で一緒に考えるための作戦地図です。判定のアルファベットは入り口の一つにすぎず、その奥にある「必要点との差」「科目の凸凹」「前回からの推移」にこそ、次の一手のヒントが隠れています。
とはいえ、成績表を冷静に読み解いて次の学習に落とし込むのは、親子だけではなかなか難しいものです。感情が先に立ってしまうのは、それだけ真剣に向き合っている証でもあります。ご家庭だけで抱え込まず、第三者の視点を入れてみることも一つの選択肢です。勝つ塾でも保護者面談を通じて、成績表の数字を「次に何をするか」へ翻訳するお手伝いをしています。今年の夏の一枚が、ご家庭にとって責める材料ではなく、前を向くきっかけになりますように。
