「あと5分、が気づけば1時間の夏」――受験生のスマホとの距離、親が“取り上げる”前に整えたい3つのこと

「あと5分だけ」と言ったはずのスマホが、気づけば1時間。机には開いたままの参考書があるのに、手はずっと画面の上。そんな我が子の姿を見て、「取り上げてしまおうか」と手が伸びかけたことのある親御さんへ。この記事は、受験生のスマホやゲームとの付き合い方に悩みながら、頭ごなしに叱るのは違う気がする、と感じているご家庭に向けて書いています。

夏は、部活も一段落し、まとまった学習時間が取れる大切な時期です。それだけに、スマホに吸い込まれていく時間が、親の目にはいっそう長く映ります。ただ、スマホをめぐる問題は「意志が弱いから」だけで説明できるものではありません。今回は、ルールを一方的に決める前に、親子で整えておきたい3つの視点をお伝えします。

「取り上げる」が逆効果になりやすい理由を知っておく

「取り上げる」が逆効果になりやすい理由を知っておく

スマホを見続ける子を前にすると、「一度取り上げれば集中するはず」と考えたくなります。実際、そうしたくなる気持ちはとても自然なものです。ただ、突然の没収は、子どもにとって「自分の領域を一方的に奪われた」という感覚を残しやすく、勉強そのものへの反発とセットになってしまうことがあります。

スマホは今の高校生にとって、友人とのつながりや情報収集、息抜きまでを担う道具です。だからこそ、ゼロか百かで切り分けるより、「どう付き合うか」を一緒に考える対象として扱うほうが、結果的にうまくいく場合が多いようです。取り上げることを最終手段として残しつつ、まずは対話の余地を持っておく。そんな構えでいるだけでも、家庭の空気は少し変わります。

ルールは「親が決める」より「一緒に決める」ほうが続く

ルールは「親が決める」より「一緒に決める」ほうが続く

家庭のルールを親が一人で決めて言い渡すと、子どもの中では「守らされているもの」になり、破ったときに罪悪感より反発が先に立ちがちです。一方、子ども自身が決定に関わったルールは、「自分で決めたこと」として、多少ゆるくても守られやすくなる傾向があります。

たとえば「勉強中はリビングの箱に置く」「夜11時以降は充電器を別の部屋に」といった具体案を、いくつか一緒に出し合ってみる。そのうえで、完璧を目指さず「まずは平日だけ試そう」と小さく始めるのも一つの方法です。うまくいかない日があっても、それを責める材料にするのではなく、「どこがきつかった?」と一緒に調整する。ルールは一度決めて終わりではなく、途中で見直していい前提でいると、親子どちらも息がしやすくなります。

「見ている時間」より「その裏にある気持ち」に目を向ける

「見ている時間」より「その裏にある気持ち」に目を向ける

長時間スマホを触っている背景には、単なる怠けではなく、勉強へのプレッシャーから逃げたい気持ちや、成績への不安が隠れていることも少なくありません。画面を見ている時間の長さだけを問題にすると、その奥にあるサインを見落としてしまうことがあります。

「そんなに見て」と時間を責める代わりに、「最近、勉強どんな感じ?」と気持ちのほうに水を向けてみる。もし子どもが不安を口にしたら、それは付き合い方を見直すきっかけになります。とはいえ、親だけで気持ちの部分まで抱え込む必要はありません。第三者の視点を入れることで、家庭では見えにくかった原因がほぐれることもあります。勝つ塾でも、学習の相談と合わせて生活リズムやスマホとの距離について保護者面談で一緒に考える機会を設けています。ご家庭だけで背負い込まず、頼れる場所を持っておくことも、選択肢の一つとして持っておいていただければと思います。

まとめ

スマホやゲームとの付き合い方は、正解が一つに決まるものではありません。大切なのは、取り上げて終わりにするのではなく、なぜそうなっているのかを一緒に見つめ、ルールを親子で育てていくことです。うまくいかない日があっても、それは失敗ではなく調整のチャンスです。この夏、画面の向こうにいる我が子の気持ちに、少しだけ目を向けてみる。その一歩が、受験期の家庭をやわらかくしてくれるはずです。