「ごはん、あんまり入らない」と言われた夜――受験期の食事サポートで、親が力を抜いていい3つのこと

夏の疲れが残る9月。食卓に並べた夕食に、お子さんが箸をつけないまま「ごはん、あんまり入らない」と言って部屋に戻っていく——そんな夜を経験した親御さんは少なくないと思います。この記事は、受験期の食事サポートに力を入れたいのにうまくいかず、「私のやり方が悪いのだろうか」と感じている保護者の方に向けて書いています。

結論から言えば、受験期の食事は「完璧に整えること」より「続けられる形にしておくこと」のほうが、ずっと効きます。今日は、頑張りどころと力を抜いていいところを一緒に整理してみます。

「食べさせなきゃ」が空回りするのは、体のリズムが変わっているから

「食べさせなきゃ」が空回りするのは、体のリズムが変わっているから

受験期に入ると、多くの高校生は生活リズムが少しずつ変わっていきます。就寝時刻が後ろにずれ、運動量は落ち、机に向かう時間が増える。この状態では、以前と同じ量の夕食が「重い」と感じられることがあります。夏の終わりは特に、暑さで落ちた食欲がまだ戻りきっていない時期でもあります。

つまり、食が細くなっているのは必ずしも「気持ちの問題」でも「親の料理の問題」でもなく、体のほうの事情であることが多い、ということです。ここを取り違えると、「せっかく作ったのに」「ちゃんと食べないと倒れるよ」という言葉が出やすくなります。親御さんとしては心配から出た言葉なのですが、受け取る側には「責められた」と届いてしまうことがあります。

「食べないこと」を正すべき問題として扱わない。これが、受験期の食事サポートの出発点になると感じています。食べる量が減っているなら、一回あたりの量を減らして回数を分ける、という選択肢があります。夕食を八割にして、その分を夜食側に回すだけでも、本人の負担はかなり軽くなります。

力を入れる価値が高いのは「朝」と「入試と同じ時間帯」

力を入れる価値が高いのは「朝」と「入試と同じ時間帯」

三食すべてを完璧に整えようとすると、親御さん自身が続きません。優先順位をつけるなら、力を入れる価値が高いのは次の二つです。

ひとつは朝食です。朝に何も入れないまま学校へ行く習慣がつくと、午前中の集中力が落ちやすくなります。ただしここでも完璧を目指す必要はなく、パンと牛乳、バナナとヨーグルト、おにぎり一つ——本人が三分で食べ終えられるものが用意されていれば十分です。「何か食べられる状態にしておく」ことがサポートであって、「栄養バランスの取れた朝食を作る」ことだけがサポートではありません。

もうひとつは、入試本番と同じ時間帯の食事です。多くの大学入試は午前中に始まり、昼をはさんで午後まで続きます。本番に近い時期になったら、休日の模試や過去問演習の日に、本番と同じ時間に、同じくらいの量の昼食をとってみる。そこで「午後に眠くなる」「量が多すぎた」といったことが分かれば、本番当日に調整できます。これは栄養の話というより、シミュレーションの話です。

逆に言えば、平日の夕食は「その日食べられるものを、無理のない量で」で構いません。ここで手を抜けることが、長い受験期を走りきる条件になります。

夜食とカフェイン、家庭でゆるく決めておきたいこと

夜食とカフェイン、家庭でゆるく決めておきたいこと

受験期の食事で相談が多いのが、夜食とカフェインの扱いです。どちらも「絶対にダメ」と決めてしまうと、かえって隠れて摂るようになり、家庭の中で話題にできなくなります。ゆるいラインを一緒に決めておくほうが現実的です。

夜食については、消化に時間のかかるものを深い時間に入れると、そのまま寝ても眠りが浅くなることがあります。温かい汁物、うどん、おにぎり半分、ヨーグルトなど、軽くて温かいものを選べるようにしておくと、本人も選びやすくなります。「夜食を用意しておくね」ではなく、「これなら夜でも軽いよ」と選択肢を置いておく形です。

カフェインについては、一律に禁止するより「何時以降は避ける」という時間の線を引くほうが機能しやすいと感じます。エナジードリンクを常用するようになっている場合は、心配を伝えたうえで、本人が今どのくらい摂っているかを一緒に確認してみてください。責める文脈ではなく、「眠れてる?」という体調の話として切り出すと、会話になりやすくなります。

また、体重が目に見えて落ちている、朝起きられない日が続く、食事をほとんど受けつけないといった状態が二週間以上続く場合は、家庭内の工夫の範囲を超えていることがあります。その場合はためらわず、かかりつけ医や学校の養護教諭に相談するという選択肢を持っておいてください。

食卓は「栄養を渡す場所」であると同時に「様子が見える場所」

受験期の食事サポートには、栄養面とは別の意味もあります。食卓は、親が子供の様子をさりげなく見られる、数少ない時間だということです。

顔色、口数、箸の進み方。部屋にこもりがちな時期でも、食事の場には出てくるという家庭は多いと思います。ここで大事なのは、その時間を質問の場にしないことです。せっかく出てきたところに「模試どうだった?」「今日は何時間やったの?」が飛んでくると、次から出てこなくなります。

食卓では、受験の話をしない時間があっていい。天気の話でも、テレビの話でも構いません。「ここでは詰められない」と分かっている場所が家の中に一つあることが、本人にとっての休息になります。そして親御さんにとっては、言葉を交わさなくても様子が分かる観察の時間になります。

食事を通したサポートで一番大きいのは、実は「今日もいつも通りの食卓がある」という安心感かもしれません。特別なことをしなくていい、というのはそういう意味です。

まとめ

受験期の食事サポートで力を入れたいのは、朝に何か食べられる状態を用意しておくことと、本番に近い時間帯での食事を一度試しておくこと。夜食とカフェインはゆるい線を決め、平日の夕食は無理のない量でかまいません。そして食卓は、質問の場ではなく、様子が見える場所として残しておく。

作ったものが食べられないまま残っていると、親御さんのほうが落ち込んでしまうことがあります。でもそれは、サポートが届いていないということではありません。用意されている、という事実そのものが、すでに伝わっています。

受験期の生活面での悩みは、ご家庭だけで抱え込むと出口が見えにくくなりがちです。第三者の視点を入れてみることも一つの方法です。勝つ塾では保護者面談の中で、学習の進み方だけでなく生活リズムや体調面についてもご相談を伺っています。