「その大学で大丈夫?」と言いたくなったとき――志望校をめぐる親子のすれ違いを防ぐ3つの視点

この記事は、子供が口にした志望校に「本当にそこでいいの?」とつい言いたくなってしまう、高校生のお子さんを持つ親御さんに向けたものです。志望校をめぐる会話は、親子の温度差がいちばん表に出やすい場面のひとつ。よかれと思った一言が、なぜか子供の表情を曇らせてしまう――そんな経験をされた方も少なくないのではないでしょうか。ここでは「どこまで口を出していいのか」という線引きと、すれ違いを防ぐための具体的な関わり方を一緒に考えていきます。

「その大学で大丈夫?」が、子供にどう届いているか

「その大学で大丈夫?」が、子供にどう届いているか

親御さんが「その大学で大丈夫?」と尋ねるとき、その奥にあるのはたいてい心配です。就職は大丈夫だろうか、もっと上を目指せるんじゃないか、後悔しないだろうか――どれも子供を思う気持ちから出てくる言葉です。ところが、受験期の子供にとって、この一言は「お母さん(お父さん)は自分の選択を信じていない」というメッセージとして届いてしまうことがあります。

特に、自分なりに調べて、迷って、ようやく口に出した志望校であればなおさらです。せっかく勇気を出して話したのに否定された、と感じてしまうと、次から子供は進路の話そのものを避けるようになります。「うちの子、最近志望校の話をしてくれない」という悩みの背景には、過去のこうしたやりとりが隠れていることもあります。心配を伝えること自体は悪いことではありません。ただ、伝わり方には少し工夫の余地があるのかもしれません。

口を出していい範囲・避けたい範囲を分けて考える

口を出していい範囲・避けたい範囲を分けて考える

志望校選びで親が関わる場面は、大きく「情報」と「決定」の二つに分けて考えると整理しやすくなります。学費や通学の現実、家庭として出せる範囲、安全校をどう組むかといった「家庭の事情に関わること」は、親御さんがしっかり情報を提供していい領域です。むしろ、お金や生活の見通しは子供だけでは判断しきれない部分なので、ここは遠慮なく具体的な数字を共有してあげてください。

一方で、「どの学部で何を学びたいか」「将来どんな方向に進みたいか」という、子供自身の人生の中身に関わる部分は、最終的な決定権を子供に残しておきたい領域です。ここに親の価値観を強く押し込むと、たとえ第一志望に合格しても「自分で選んだ」という実感が薄れ、入学後につまずいたときに踏ん張りがきかなくなることがあります。「情報は十分に渡す、でも決めるのは本人」――この線引きを意識するだけで、会話の空気はずいぶん変わってきます。

すれ違いを防ぐ、3つの関わり方

すれ違いを防ぐ、3つの関わり方

では具体的にどう関わればいいのか。完璧を目指す必要はありませんが、いくつか試しやすい選択肢があります。

ひとつめは、否定の前に「理由を聞く」こと。「なんでその大学なの?」を問い詰めるトーンではなく、「どういうところが気になってるの?」と興味を持って尋ねると、子供は自分の考えを言葉にしながら、自分でも気づいていなかった本音や迷いを整理していきます。親が答えを用意するより、子供が自分で語る時間のほうが、進路を自分ごとにする力になります。

ふたつめは、心配を「主語を自分にして」伝えること。「その大学じゃダメ」ではなく、「お母さんは就職のことがちょっと気になってるんだけど、どう考えてる?」という言い方です。同じ心配でも、判断を押しつけるのではなく一緒に考える姿勢になり、子供も身構えずに受け取れます。

みっつめは、「今すぐ結論を出さなくていい」と伝えること。志望校は一度決めたら変えられないものではありません。模試の結果やオープンキャンパスでの感触によって、夏から秋にかけて気持ちが動くのはごく自然なことです。「今の気持ちを聞かせてくれてありがとう、また変わってもいいからね」と余白を残しておくと、子供は安心して何度でも相談してくれるようになります。

まとめ――最後に決めるのは、本人だからこそ

志望校をめぐって親子の意見がぶつかるのは、どちらも真剣に未来を考えている証拠でもあります。大切なのは、勝ち負けを決めることではなく、子供が「自分で選んだ」と納得して受験に向かえること。親御さんは、その選択を支える情報と、安心して相談できる空気を用意する役割に回ると、関係がぐっと楽になります。

とはいえ、ご家庭の中だけで進路を整理しようとすると、親子ともに感情が入りやすく、冷静に話しづらいこともあります。そんなときは、第三者の視点を一つ入れてみるのも一つの方法です。勝つ塾の保護者面談では、お子さんの学力や志望に合わせて、ご家庭だけでは見えにくい選択肢を一緒に整理するお手伝いをしています。抱え込みすぎず、必要なときは外の力も頼りながら、お子さんの「自分で決めた一校」を見守っていけるとよいですね。